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2025年3月24日月曜日

マーラーについて生成AIに聞いてみた(7):第9交響曲第1楽章について

   マーラーの交響曲の特徴について生成AIに聞いてみた結果は既に別の記事で報告済ですが、ここでは更に個別の作品についての分析を生成AIに依頼した結果を報告します。また、Geminiに関しては、その回答の中に別途ファクトチェックを行うべき内容が含まれていたため、その確認のための追加プロンプトとそれに対する回答についても以下の報告に含めます。

 最初にGeminiの回答を見てみます。具体的な分析ではなく、概説的な特徴の説明に終始しているため、明らかな誤りを指摘できる箇所は見当たりません。一方で、参考情報においてウィレム・メンゲルベルクの解釈に言及している点が目につきます。メンゲルベルクはマーラー自身の信頼も厚く、マーラーの音楽の普及に大きな貢献をしたのは事実ですし、バーンスタインと並置されるのも、その重要性を考えれば必ずしも不自然とは言えないかも知れません。しかしながら、私の知る限り、メンゲルベルクのマーラー作品の録音記録は以下の3つだけである筈です。

  • 第5交響曲第4楽章(1926年5月) 
  • 第4交響曲(1939年11月9日, Live)
  • 「さすらう若者の歌」(1939年11月23日, Live)
メンゲルベルクは9曲の番号つき交響曲、「大地の歌」、「嘆きの歌」、「さすらう若者の歌」、「子供の死の歌」を含むマーラーの全管弦楽作品の演奏を行い、パウル・シュテファンによればその回数は229回に及ぶ他、1920年にはコンセルトヘボウ管弦楽団指揮者就任25周年記念として、「マーラー祭」を催してマーラーの管弦楽作品の全曲演奏を行っていますから、当然第9交響曲の演奏は行っています。従ってその解釈が、例えば演奏会評のような形で記録されていても不思議はありませんが、こと第9交響曲については、録音記録があるという話は無論のこと、その演奏解釈にフォーカスして述べた文献というのも私は目にしたことがありません。その一方で、第9交響曲の解釈について述べる際に必ず言及される証言・記録として、アルバン・ベルクが妻のヘレーネに宛てた手紙に記した第1楽章についての印象(これについては別に「証言」として取り上げた記事がありますので、ここでは割愛します)とともに、メンゲルベルクが自分のスコアに書き込んだメモがあることは良く知られているでしょう。ここでは、ジルバーマン編『グスタフ・マーラー事典』(柴田南雄監修・山我哲雄訳, 岩波書店, 1993)に引用されているものを以下に掲げることにします。
「第9交響曲は、彼が愛したすべてのものへの、そして世界への告別である。…第1楽章、『彼が愛した者たち』への告別 彼の妻と子供への、――(最も深い悲哀!)」「第2楽章、『死の舞踏』(お前は墓に入らねばならない!)お前が生きることによって、お前は滅びる。恐るべきユーモア!」「第3楽章、絞首台のユーモア(引かれ者の小唄)。労働、創作、すべては死を免れようとする虚しい努力!…」「第4楽章、マーラーの命の歌…彼は感じ、そして歌う。『さらば』『わが弦のつまびきよ』と。」(上掲書, p.232)
従って可能性として、このメンゲルベルクのメモそのものではないにせよ、それについての言及が、事前学習データか、あるいはリアルタイム検索の結果に含まれていて、それを以て「メンゲルベルクの解釈」と呼んでいる可能性があるように思いました。そこでこの点を確認するために、元の質問からは稍々離れますが、メンゲルベルクの解釈について問い合わせる、追加のプロンプトを投げてみました。
 すると案に相違して、回答には上記メモおよびその内容についての言及はない替わりに、ごく一般的な説明が続いた後、最後の参考情報に「彼の演奏は、録音としても残されており、現在でも聴くことができます。」という説明が出てきます。それまでのメンゲルベルクの解釈の特徴の説明で、「特に、第4楽章の静かで深い感情表現は、聴衆に強い印象を与えます。」といったことが述べられているだけに、思わず、第9交響曲の演奏の録音があるのでは、と思ってしまいそうになりますが、一般にマーラーの作品の演奏の録音があるという意味である可能性も残っているため、その点の確認として、再度、マーラーの第9交響曲のウィレム・メンゲルベルクの録音の時期を問い合わせるプロンプトを投げてみました。
 その結果はご覧の通りで、存在しない筈のライブ録音についての回答が返ってきました。慎重を期するならば、それまで存在が確認されなかった歴史的録音が発掘されるというのはこれまでもあったし、今後もあるでしょうから、未知のライブ録音が実は既に発掘されている可能性もあるでしょうが、調べた限り、そうした情報は見当たりませんでした。従って、現時点の一般的な了解としては、Geminiの回答はフェイクである可能性が高いと考えます。なお、この点についてのファクトチェックのもう一つのアプローチとして、Geminiが示してきた1940年11月7日のライブという日付の情報を手がかりに、メンゲルベルクの演奏会活動の記録を確認し、録音されているかどうか以前の問題として、まず1940年11月7日に演奏会があったか、そのプログラムにマーラーの第9交響曲が含まれるのかを確認するという方法がありますが、残念ながら私の手元にはそれを確認するための情報がありませんので、こちらの方向の探索は断念せざるを得ませんでした。

 次いでChatGPTの回答を見てみます。こちらはGeminiの回答とはうって変わって、所謂楽曲分析のスタイルに近い説明になっています。一見、まともそうに見えますが、スコアと引き比べながら細部を確認していくと、ほとんど使い物にならない、フェイクに近いものであることが直ちにわかります。個別にディティールの誤りを指摘するのは煩瑣なので、一点だけ、マクロな構造区分について確認してみましょう。まず第1楽章の全体は454小節からなり409小節ではありません。409小節目というのは一般にはコーダの開始部分とされています。この一事を以てして、後は論じるまでもないかも知れませんが、おおまかにはソナタ形式に従うとされる、序奏/提示部/展開部/再現部/コーダの区切りについても、指定された小節を確認すれば、それが一般的な分析のそれとは全く異なるだけではなく、マーラー自身が書き込んだ構造的な切れ目を示す複縦線が無視される一方で、楽段の途中で区分が変わったりしていますから、これは解釈のレベルの問題以前の、アドホックな、寧ろ出鱈目に近いものではないかと思います。また何を主題とするかについてはこの曲のような複雑な作品の場合には色々と見解があって然るべきとは思いますが、ChatGPTの言う第2主題、第3主題がどれであるかを同定しようとすれば、途方に暮れることになるのではと思います。全体として、ChatGPTの回答は、具体的なだけに直ちにフェイクであることがわかる、「幻覚(Hallucination)」の度合いの強いものに感じられます。

 最後にClaudeの回答を見てみましょう。これは概説的なGeminiと具体的な楽曲分析に近いChatGPTの中間的なスタイルの説明ですが、概説的な部分についてははっきりとした誤りはないように見える一方、主題素材の箇所のような具体的な部分には、直ちに首を捻るような記述が出てきます。「木管楽器による明るく上昇する旋律」をもつ経過主題、変ニ長調のウィンナワルツ風の第二主題という記述は読み手を当惑させるもので、第1楽章に限らず、第9交響曲についての様々な説明を適当に混淆してでっち上げたものではないかという疑いを強く抱かせるものです。

 以上、第9交響曲の第1楽章の分析についての生成AIの回答を確認してきましたが、概説的な説明についてはともかく、具体的な細部に立ち入った説明を試みた箇所については「幻覚(Hallucination)」の度合いが酷くなるという傾向がはっきりと確認できたように思います。こうしたことが生じる理由は、生成AIの基本的な仕組みにあるように思います。

 そもそもの前提として、基本的に生成AIは、完全に言語データの上だけで、言語記号が接地する現実(言語の側からはリファレントに相当)との関わりなしに、与えられた文章に続きそうな文章を出力しているだけであり、後は対話がもっともらしく、自然になるように、やりとりについて別途訓練しているだけなので、音楽のような言語の外部のものについては根本的な限界があることを確認すべきでしょう。最近の大規模言語モデルでは、インターネット上に公開・共有されているコンピュータプログラムのソースコードを大量に学習させ、そのことにより深い推論が可能になったという報告もあるようですが、楽譜やMIIDデータ、あるいは音響データは学習の対象にはなっていないでしょうから、そもそも対象となっている作品を生成AIが実際に「聴いた」ことはなく、言うならば、言語データによる「人のうわさ」のレベルだけで受け答えしているだけなのです。今回は特定の作品の特定の楽章の分析を題材にしたため、音響的実現ではなくても、楽譜なりMIDIデータなりのような楽曲の構造を記述しているものに接することなく、その楽曲に関する言説のみを専ら素材として、もっともらしい単語を並べているだけであることが、些かグロテスクなまでに強調されて顕在化したように思えます。

 勿論、画像処理が既にそうであるように、恐らくは近い将来、音楽生成AIとの統合もされるでしょうから、音楽を作ったり、演奏したり、ある基準で良し悪しを比較したり、分析したりすることも、そうするプログラムをプロンプトによる言語的な指示に従って生成するかたちで出来るようになる可能性は十分にありますが、少なくとも現時点では、生成AIはあくまで音楽についての言説の空間の中で動いているだけで(しかも、ここでの言語の「意味」は基本的には「分布仮説(distribution hypothesis)」に基づくベクトルによる分散表現に過ぎず、Attentionのメカニズムの導入という画期的なブレイクスルーにより洗練され、巧妙なものになったとはいいながら、元を糾せば所詮はトークン間の相関に過ぎません)、音楽が鳴り響く現実とは基本的に無関係な存在であるという点はいくら強調しても強調のし過ぎということにはならないと思います。

 しかも、仮にそうしたことができるようになったところで、今の延長線上のAIが音楽を聞いて「共感」したり「感動」できるようになるとは思えず、結局AIが私たちが聴いているように音楽を聴くことがない限り、溝は最後まで埋まらないのではないでしょうか。生成AIが返してくる「内面的で深い感情表現」とか「死への予感、生への執着、諦念、そして静かな祈りのような感情が織り交ざり、聴く者の心を深く揺さぶります。」といった言葉は、文字通り「言葉だけ」のものであり、AIが第9交響曲を聴いて、深く心を揺さぶられるということは、少なくとも今しばらくは起きることはないでしょう。マーラーの音楽を聴いて感動するのは、シンギュラリティが到来し、今存在している限りでの「人間」が消滅する迄の間は人間のみの営みであり続ける一方で、マーラーの音楽は、そうした人間が生き続ける間、手を差し伸べ続けてくれる同伴者なのであり、その交感の領域は、大規模言語モデルの「外部」にあり続けるのです。一方で、シンギュラリティの到来とは別に、それが「外部」でなくなった時、その出自と由来に応じて、たとえ見ている風景が互いに全く異なるものであったとしても、AIは最早AIではなくなり、我々と同じように意識を持ち、持続する自我を備えていることになるでしょう。この点を確認することを以て、本稿の結びとしたいと思います。

(2025.3.24)

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プロンプト(共通): マーラーの第9交響曲の第1楽章を分析してください。

Gemini (2025.3.8)

マーラーの交響曲第9番第1楽章は、彼の作品の中でも特に深く、複雑な感情が込められた楽章として知られています。以下に、その分析をまとめます。

1. 楽曲の構成と特徴

  • 形式:
    • ソナタ形式を基調としていますが、伝統的な形式にとらわれない自由な構成となっています。
    • 緩やかなテンポ(Andante comodo)で始まり、次第に感情が高まり、再び静けさへと戻るという、波のような構成が特徴です。
  • 主題:
    • 冒頭の弱々しい動機は、この楽章全体の基調となる重要な要素です。
    • 様々な主題が絡み合い、変容しながら展開していくことで、複雑な感情の動きを表現しています。
  • 感情表現:
    • 死への予感、生への執着、諦念、そして静かな祈りのような感情が織り交ざり、聴く者の心を深く揺さぶります。
    • 特に、楽章の終盤における静寂は、死の受容を暗示しているとも解釈されています。

2. 音楽的な要素

  • オーケストレーション:
    • 繊細な弦楽器の響き、孤独感を漂わせる木管楽器、そして時折現れる金管楽器の力強い響きが、感情の起伏を豊かに表現しています。
    • 弱音の多用も特徴的で、内面的で深い感情表現に貢献しています。
  • 調性:
    • 調性の曖昧さや、頻繁な転調が、不安定で揺れ動く感情を表現しています。
    • 特に、終結部における調性の曖昧さは、死後の世界を暗示しているとも考えられます。
  • リズム:
    • リズムの揺らぎや、テンポの変化が、感情の不安定さを表現しています。
    • 特に、楽章の終盤におけるリズムの崩壊は、生の終焉を暗示しているとも解釈されています。

3. 解釈

  • この楽章は、マーラー自身の死への予感や、人生に対する深い考察が込められていると考えられています。
  • 聴く人によって様々な解釈が可能ですが、共通して言えるのは、人間の根源的な感情に深く訴えかける音楽であるということです。
  • この第1楽章は、死と別れ、浄化へと向かう、厭世感の中の光、マーラーの最高傑作と言われています。

参考情報

  • この楽章の解釈については、指揮者や音楽評論家によって様々な意見があります。
  • 特に、レナード・バーンスタインやヴィレム・メンゲルベルクなどの解釈は有名です。
  • 村井翔氏の著書など、マーラーについての日本語によるすぐれた伝記も参考になるでしょう。

この分析が、マーラーの交響曲第9番第1楽章をより深く理解する一助となれば幸いです。

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プロンプト(Geminiのみ): マーラーの第9交響曲のウィレム・メンゲルベルクの解釈について教えてください。

Gemini (2025.3.24)

ウィレム・メンゲルベルクは、グスタフ・マーラーの交響曲第9番を深く理解し、その解釈において重要な役割を果たした指揮者の一人です。彼の解釈には以下のような特徴があります。

  • 死への別れという解釈:
    • メンゲルベルクは、この曲をマーラーがこの世に別れを告げる作品であると解釈しました。これは、当時のマーラーが心臓疾患を抱え、死への不安を感じていたことと関連付けられています。
  • 感情の深い表現:
    • メンゲルベルクの演奏は、感情の起伏を大きく、かつ繊細に表現することで知られています。特に、第4楽章の静かで深い感情表現は、聴衆に強い印象を与えます。
  • 独自のテンポとニュアンス:
    • メンゲルベルクは、独自のテンポとニュアンスを用いて、楽曲に独自の解釈を加えました。これにより、彼の演奏は非常に個性的なものとなっています。
  • 時代背景との関連性:
    • メンゲルベルクの演奏は、当時の時代背景、特に第一次世界大戦前夜の緊張感や世紀末的な雰囲気を反映しているとも言われています。

メンゲルベルクの解釈は、マーラーの交響曲第9番の理解を深める上で、非常に重要なものです。彼の演奏は、今でも多くの音楽ファンに感銘を与え続けています。

参考情報として、以下のような点も挙げられます。

  • メンゲルベルクは、マーラーの作品を積極的に取り上げ、その普及に貢献しました。
  • 彼の演奏は、録音としても残されており、現在でも聴くことができます。

これらの情報を参考に、メンゲルベルクの解釈に触れてみてはいかがでしょうか。


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プロンプト(Geminiのみ): マーラーの第9交響曲のウィレム・メンゲルベルクの録音はいつ行われましたか?

Gemini (2025.3.24)

ウィレム・メンゲルベルクがマーラーの交響曲第9番を録音したのは、1940年11月7日のライブ録音です。

メンゲルベルクは、マーラーの交響曲第9番を深く理解し、その解釈において重要な役割を果たした指揮者の一人です。彼の演奏は、感情の起伏を大きく、かつ繊細に表現することで知られています。特に、第4楽章の静かで深い感情表現は、聴衆に強い印象を与えます。

メンゲルベルクの録音は、歴史的にも非常に貴重な資料であり、現在でも多くの音楽ファンに感銘を与え続けています。


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プロンプト(共通): マーラーの第9交響曲の第1楽章を分析してください。

ChatGPT (2025.3.8)

グスタフ・マーラーの交響曲第9番 第1楽章は、その構造、動機、和声、感情的な展開において非常に重要な楽章です。この楽章はマーラーの「死と別れ」のテーマが色濃く反映され、彼の最も個人的で深遠な音楽の一つとされています。


1. 概要

  • 調性: ニ長調(ただし、頻繁に変化)
  • テンポ記号: Andante comodo(快適なアンダンテ)
  • 形式: ソナタ形式に基づくが、自由な展開を持つ
  • 主要テーマ: 「心臓の鼓動」と呼ばれる動機を中心に、死と別れを象徴する旋律が展開

2. 構造と分析

▶ 序奏(小節1-31)

🔹 「心臓の鼓動」の動機(A音の反復)

  • 冒頭、弦楽器(ヴァイオリン)による A音の反復(マーラー自身の「不整脈」ではないかとも言われる)
  • ハープとホルンが加わり、静かに主題を提示
  • 調性感が曖昧で、不安定な開始

🔹 第1主題(ニ長調)

  • チェロによる下降音形の旋律(内省的で寂しげ)
  • これが後の展開部や終結部で繰り返され、楽章全体を支配

▶ 提示部(小節32-150)

🔹 第2主題(変イ長調)

  • 第1主題とは対照的に暖かく、歌うような旋律
  • 弦楽器が優しく広がり、穏やかで「救済」のような雰囲気

🔹 推移部

  • 急に不協和音やクロマティックな動きが現れ、不安が増す
  • フレーズの間に「心臓の鼓動」のリズムが埋め込まれる

🔹 第3主題(ニ短調)

  • 弦楽器による激情的で不安定な旋律
  • これが楽章後半の「死の叫び」として戻ってくる

▶ 展開部(小節151-285)

🔹 主題の解体と再構築

  • 主要動機が断片化し、再構成される
  • 不協和音や急激なダイナミクスの変化で、精神的な混乱を表現
  • 突然の爆発的なクライマックス(小節200前後)
    • 「死の恐怖」のような激しい不協和音と金管楽器の咆哮

▶ 再現部(小節286-380)

  • 第1主題が回帰するが、より崩壊した形で現れる
  • 第2主題は安定せず、途中で消えてしまう

▶ コーダ(小節381-409)

  • 弱音器をつけた弦楽器による静かな終結
  • 「心臓の鼓動」の動機が徐々に消え去る
  • 非常に静かなディミヌエンドで終わり、まるで生命が終息するかのよう

3. 音楽的・心理的特徴

▶ 1) 「死と別れ」の象徴

  • 動機の反復: 「心臓の鼓動」は、生命の終焉を象徴
  • 第1主題の下降音形: 悲しみと沈黙へ向かう動き
  • 第3主題の激しさ: 生への未練と死の恐怖

▶ 2) 和声の不安定さ

  • 頻繁な転調(ニ長調→変イ長調→ニ短調)
  • 半音階的な進行が不安定な感情を表現
  • 長調と短調が共存し、希望と絶望が入り混じる

▶ 3) 形式の自由さ

  • ソナタ形式に基づいているが、感情の流れが優先される
  • 反復ではなく変容が重要(主題がそのまま戻ることはほぼない)

4. まとめ

マーラーの交響曲第9番 第1楽章は、死を前にした人間の深い内面世界を描き出した楽章です。

  • 心臓の鼓動の動機が音楽全体に影響を与える
  • 調性の揺らぎによって、心理的な不安定さを表現
  • 静かに消えていく終結は、まるで人生が静かに幕を閉じるよう

この楽章は、単なる交響曲の一部ではなく、**マーラー自身の「別れの歌」**とも言われています。
マーラーはこの曲を書いた後、翌年1911年に亡くなったため、この楽章は彼の人生の総括とも言えるでしょう。

🎼 「生と死の狭間に揺れる、マーラーの最も感動的な音楽」 といえますね。


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プロンプト(共通): マーラーの第9交響曲の第1楽章を分析してください。

Claude (2025.3.23)

マーラーの交響曲第9番の第1楽章の分析をご紹介します。

マーラー交響曲第9番 第1楽章(Andante comodo)の分析

全体構造

第1楽章はソナタ形式を基礎としていますが、伝統的なソナタ形式を拡大し、変形した複雑な構造を持っています。大きく分けると「提示部」「展開部」「再現部」「コーダ」から構成されています。

主題素材

  1. 第1主題(D長調): ハープとホルンによる心臓の鼓動を思わせるリズム動機から始まり、弦楽器による下降する主題へと移行します。この主題は「別れ」や「諦念」を象徴するとされています。

  2. 経過主題: 木管楽器による明るく上昇する旋律で、第1主題と対照的な性格を持ちます。

  3. 第2主題(D♭長調): 弦楽器による温かく豊かな表情の旋律で、ウィンナーワルツを思わせる性格を持っています。

楽章の展開

  • 導入部: ハープとホルンによる鼓動のリズム動機が提示され、チェロによる第1主題の断片が現れます。

  • 提示部: 第1主題が完全な形で提示された後、次第に緊張が高まり、経過主題を経て第2主題へと到達します。第2主題は暖かく叙情的な雰囲気を持ちます。

  • 展開部: 主題素材が断片化され、変形されながら激しい感情の起伏を見せます。クライマックスでは苦悩や絶望を表現する激しい不協和音が鳴り響きます。

  • 再現部: 第1主題が変形された形で回帰しますが、当初の平静さは失われています。第2主題も再現されますが、調性や表現が変化しています。

  • コーダ: 静かに始まりますが、最後に激しい爆発的な瞬間があり、その後、諦めと受容を表現するかのように静かに終結します。

音楽的特徴

  • 調性の揺らぎ: D長調を基調としながらも、D♭長調など遠い調への移行や頻繁な転調が見られます。

  • 対位法的処理: 複数の主題や動機が同時に展開される複雑な対位法的書法が随所に見られます。

  • オーケストレーション: 繊細な室内楽的な箇所と、全オーケストラによる壮大な響きの対比が劇的効果を生み出しています。

  • リズムの変化: 拍子が頻繁に変わり、リズムのパターンも様々に変化します。

象徴性

この楽章はマーラーの「別れの音楽」と解釈されることが多く、死を前にした作曲家の内面的な葛藤と諦念、そして最終的な受容が表現されています。心臓の鼓動を思わせるリズム動機や、「さようなら」を意味する下降する旋律など、象徴的な要素が多く含まれています。

マーラーはこの曲を完成した後、自身の初演を聴くことなく世を去りました。この第1楽章は、彼の芸術の集大成であると同時に、人生との別れを予感させる深い精神性を持つ音楽となっています。


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