2023年8月27日日曜日

MIDIファイルを入力とした分析の準備(6):状態遷移の集計結果の公開(補遺その2)(2023.9.4更新)

    1.本稿の主旨

 MIDIファイルを入力とした状態遷移プロセスの分析に着手すべく実施した状態遷移の集計手法の検討の内容および、それに基づいたマーラーの交響曲のMIDIファイルを対象とした集計結果について、MIDIファイルを入力とした分析の準備(3):状態遷移の集計手法の検討と集計結果の公開およびMIDIファイルを入力とした分析の準備(4):集計結果の公開(続き)にて報告し、集計結果の公開を行ってきました。また補遺として、交響曲毎ではなく、全交響曲についての状態遷移の集計結果を記事 MIDIファイルを入力とした分析の準備(5):集計結果の公開(補遺) にて報告・公開しました。

 本稿では、状態や状態間の遷移の定義を改めて見直して、より基本的な情報として、五度圏上の位置や転回を区別しない音の組み合わせパターンとしての和音の遷移と、五度圏上の位置や転回を区別した(ただし密集・乖離の区別しない)和音のパターンの遷移の集計結果を公開します。以下、簡単にその背景を説明します。


   2.集計結果追加の背景

 上記の最初の記事でも述べたことですが、これまで公開してきた集計データでは、普通の状態遷移と異なって、例えばハ長調の主和音→ト長調の主和音という状態遷移と、ヘ長調の主和音→ハ長調の主和音という状態遷移が転調としては「同じ」遷移であるという捉え方をするために、単純に状態(ここでは和音)の系列として表現するのではなく、或る主和音から5度上の主和音に遷移、という「変分」を表現できるようなコーディングを採用してみました。従って、そこでの状態遷移パターンというのは、単純な状態(和音)の系列ではなく、寧ろ遷移の系列を表したものになっています。厳密な言い方をすれば、そこでのコーディングにおいては、どういう組み合わせで音が(ある時点で同時に)鳴っているかについての状態の系列となっており、その音の組み合わせが五度圏上のどの位置で鳴っているかについては、後の和音について前の和音との相対的な関係(変分)の系列となっています。例えば、状態の系列としては

(長三和音形・ハ調)→(長三和音形・ト調)

(長三和音形・へ調)→(長三和音形・ハ調)

であるものについて

(長三和音形)→五度上→(長三和音形)

という同一のパターンとして

(長三和音形・基準位置)→(長三和音形・五度上)

というように表現していることになり、状態の系列と変化(遷移)の系列が混在した表現になっています。遷移パターンの計算にあたり、転回を考慮する程度に応じて、以下の3種類の集計を行いましたが、そのいずれも上で述べた位置の移動(変分)は考慮しており、所謂「移置」を意識している点では共通しています。

  • 全ての和音について転回形を区別せず(=移置のみ)。(default)
  • 移置+長短三和音のみ転回形を区別。(tonic)
  • 移置+全ての和音について転回形を区別。(inv)
  •  その結果として、公開した集計結果のフォーマットは通常の状態遷移パターンと異なり、状態遷移パターンに含まれる状態は、計算の元となった系列に含まれる状態(ここでは和音) そのものではないという特徴を持ちます。つまり通常の状態遷移パターンに含まれる要素は、元となった系列の要素である状態そのものであり、(和音パターン・位置・転回)の並びとなるところ、上記のような変分を考慮したパターンでは、遷移パターンに含まれる各状態は、元の系列の各状態そのものではなくて、(最初の和音パターン・基本位置→次の和音パターン・前からの変分→次の和音パターン・前からの変分→…)というパターンになります。

     この記法で問題になるのは、遷移パターン中に出現する状態は、あくまでのそのパターンの内部での相対的な状態であり、元の系列の状態そのものではないため、普通状態遷移パターンの分析で用いられている色々なやり方がそのままでは使えないことだと思います。勿論、遷移パターン系列同士の比較はできるし、遷移パターン系列群の内部で共通する遷移を取り出して、確率を求めるといったことは可能です。とはいえ、公開したデータで通常、状態遷移パターンの分析で用いられる色々な方法を試みることができないのは集計結果の活用の仕方を制限してしまうことになります。問題は和音のパターンは状態の系列として表現されているのに、位置については変化の系列として表現され、それらが混在している点にあるので、論理的には全てを変化の系列として表現してしまうというアプローチもありうることになりますが、ある和音から別の和音への変化の「変分」を測るための「距離」をどのように定義するかは自明とは言い難く(和音の類似性のよう測度を考えることになり、これはこれで理論的には興味深い問題かも知れませんが、そのような定義がうまく定義できたとして、その「定義」が「意味」として自然なものになりうるかどうかを考えると容易なことではなさそうに感じられます)、こちらは現実的ではなさそうです。

     そこで一先ず、「変分」の共通性に拘った遷移パターンの集計結果のみを公開するのではなく、それらと比較対照ができるように、通常の状態の系列で表現可能な状態遷移パターンの集計結果を計算して公開することを思い当たったというのが背景になります。

     実は、通常状態遷移パターンを分析する際の処理を想定した時に、位置の移動(変分)の同型性を意識して状態の系列と変化(遷移)の系列が混在した表現と言う点はそのままの別の表記方法が思い浮かびました。

    (長三和音形)→五度上→(長三和音形)

    というパターンを

    (長三和音形(基準位置))→(長三和音形・五度上)

    と、前の状態を基準に、そこからの変分を次の出力値に埋め込んで表現するのではなく、

    (長三和音形・五度下)→(長三和音形(基準位置))

    というように、次の出力の側から見た時の変分を前の状態の一部として表現する方法が考えられます。こうすることで変分の情報は全て前の状態側に集められ、次の出力は単なる和音のパターンとなっており、取り扱いが容易になりそうです。またこうすることのメリットは、状態遷移をマルコフ過程として見た場合の単純マルコフ過程(大黒さんの著書を参照しつつ、ここで採用した言い方では、深さ=1に相当)よりも、多重マルコフ過程(深さ=2以上の相当)の場合により明らかに見えます。例えば二重マルコフ過程(深さ=2)の時、従来のパターンの表現では、

    (2つ前の和音(基準位置)→1つ前の和音・2つ前との変分)→(次の和音・1つ前との変分)

    となり、前の状態の側にも、次の和音の側にも変分が出現するだけでなく、前の状態の中で単なる和音と変分が埋め込まれた表現が混在することになります。実際には、系列の最初の2つ前の和音も更にもう一つ前の和音からの変分を持っている筈なのですが、その情報は含まれないことになります。これに対してここでの別案では、

    (2つ前の和音・1つ前との変分→1つ前の和音・次との変分)→(次の和音)

    となり、前の状態は変分つきの表現のみなのに対して次の状態は和音となるので形式的にもすっきりしているし、状態遷移確率として見た場合に「次に来る和音は何か?」についての不確実性の表現になっているように見えます。

     しかしながら上記の代替案に問題がない訳ではありません。なぜならば、単なる和音のパターンの継起としてではなく、位置の移動も考慮し、変分の共通性を意識した状態遷移パターンというデザインの主旨から考えた時、代替案には意味的な不自然さが生じてしまうからです。単純な例で示すために、再び単純マルコフ過程(深さ=1)を例にとります。

    (長三和音形・五度下)→(長三和音形)

    という表現が何を意味しているかと言えば、前の状態の和音のパターンは長三和音形であり、かつ位置に関して「次の和音の五度下」であると言っていて、これはつまり次の和音との関係の一部が先取りされてしまっていることになります。強いて言えば「前の和音が長三和音形で次が五度上に移動するとしたら、次の和音は何か?」ということになり、次の和音の相対位置が条件の側に含まれてしまっていることになります。この場合、「前の和音が長三和音形で次が三度上に移動するとしたら」というのは前の状態として別の状態として区別されることになります。勿論、そのような定義の状態遷移パターンとして、それに基づいた計算をすることは可能ですが、それは元の案とは異なった意味になり、意味に影響しない単なる形式的な変形ではありません。

     もう一度、元の案を確認してみましょう。

    (2つ前の和音→1つ前の和音・2つ前との変分)→(次の和音・1つ前との変分)

    もともと和音のパターンだけではなく、位置の移動の変分を考慮した状態遷移パターンであったので、寧ろ前の状態も次の値も、ともに和音のパターンと前との変分の組み合わせであるべきであり、従ってこちらの方が目的に適っていると見ることもできそうです。前の状態の最初の和音パターンからは、更に前との位置の変分は落ちてしまっていますが、基本的には「和音パターンと変分の組」によって状態が定義されていると考えるべきだということになります。

     そしてそう考えるのであれば本稿冒頭で提起した論点はそもそも問題ではなくなるわけですが、それでも単純マルコフ過程(深さ=1)での前の状態と次の間の非対称性は依然として残ってしまいます。それならばいっそのこと

    (1つ前の和音・2つ前との変分)→(次の和音・1つ前との変分)

    と、2つ前の和音との差分の情報を前の状態にも入れる方法も考えられます。それに対しては、例えばマルコフ情報源のエントロピーの計算にあたっては前の状態になりうる確率がわかれば良いのであって、それがわかれば(そして実際、集計結果に頻度は含まれるので)計算はできるので、非対称性は気にしなくても良いという考え方もあるかも知れません。一方で更にそれに対して、対称性が損なわれていることが問題になるケースが起こりうるかも知れないとして、従来の集計結果だけではなく、対称性があるような定義に基づいた集計結果をそれに加えて提示しておけばいいのではないかという意見もありそうです。

     それでは対称性があることを前提とした場合、どのような「状態」定義が考えられるでしょうか?これもまた様々な「状態」の定義の仕方が考えられるでしょうが、ここでは従来の定義からの延長として自然に思いつく以下の2つの定義を採用して、状態の系列の生成と遷移パターンの集計を行うことにしました。

    • 和音のパターン(例えば「長三和音形」)のみを状態とする(pcls)。
    • 和音のパターン・五度圏上での位置・転回の組み合わせ(例えばハ調の長三和音の第2転回形)を状態とする(trans_inv)。

    前者だと、機能和声上での同じ調領域での主和音・属和音の区別も転調も区別せず、密集・乖離のみならず、転回形の区別もない、単なるパターンの並びになります。それに対して後者では密集・乖離の区別はないものの、五度圏上の位置と転回については区別された状態の系列となりますが、その替わりにこれまで公開してきた集計結果で用いたコーディングでは可能であった、(長三和音形・ハ調)→(長三和音形・ト調)と(長三和音形・へ調)→(長三和音形・ハ調)の遷移としての同一性は扱えず、異なる状態遷移として扱われることになります。

     さらに上記2つの状態の定義を、これまで公開してきた集計結果で用いたられたものと比較してみます。従来の集計では、まず入力系列において、和音のパターン、五度圏上での位置の違いと転回形の区別を持った入力系列を生成し、状態遷移パターンの抽出において下記の3パターンのそれぞれの条件に従って集計を行ったのでした。

    • 全ての和音について転回形を区別せず(=移置のみ)。(default)
    • 移置+長短三和音のみ転回形を区別。(tonic)
    • 移置+全ての和音について転回形を区別。(inv)

     まず「和音のパターンのみを状態とする(pcls)」場合というのは、状態遷移パターン抽出にあたっての状態の定義上は上記の「全ての和音について転回形を区別しない(default)」場合比べたと同一ですが、遷移パターンの計算にあたって五度圏上の位置を区別するかどうか、つまり遷移上は「変分」を考慮するかどうかについて異なります。同様に違いは入力の系列の生成の方にもあって、従来は上記3つの集計方法を、和音のパターン、五度圏上での位置の違いと転回形の区別を持った入力系列に対して適用したのでした。そして入力の系列の生成にあたり、音がない(休符)場合や前の状態から変化がない場合は新たな状態とは看做さないという条件が適用される結果として、従来の「全ての和音について転回形を区別しない(default)」集計では、入力系列としては、位置の違い・転回形の区別によって前とは異なる状態として生成された状態が、遷移パターンの集計にあたっては同じパターンへの遷移、つまり変化なしとして扱われていたのですが、今回追加した「和音のパターンのみを状態とする(pcls)」条件での状態の系列の生成・遷移パターンの集計では、状態の系列の生成の際に同一パターンの連続と看做されれば、新たな状態とは看做されないことになるため、生成される系列の長さに違いが出ることになります。結果として出現する状態単独でのパターン(深さ0の遷移パターンに相当)の種類としては同一になりますが、生成された系列が異なり、かつ状態遷移パターンの計算にあたって、五度圏上の位置の移動(変分)を考慮するめ、状態遷移パターンは異なったものになります。

     一方で和音のパターン・五度圏上での位置・転回の組み合わせを状態とする(trans_inv)定義の方は、全ての和音について転回形を区別(inv)するのと、系列の生成についても、状態遷移パターンの集計についても見方は同じです。違いは状態遷移パターン上での区別の仕方にあって、従来のものは、位置の変化について変分が同じものは同一の遷移と見なしていたのに対して、今回追加の定義では、変分をパターンとするのではなく、あくまで前の状態と後の状態で位置が異なるものは、異なったパターンと看做されることになります。

     従って、系列の生成と遷移パターンの計算上の区別について、以下のような比較が成り立ちます。

    • 系列生成:pcls < default = tonic = inv = trans_inv
    • 遷移パターン計算:pcls < default < tonic < inv < trans_inv

    これは生成した状態の異なり数、和音毎・状態遷移パターンの異なり数の集計結果によって確認できます。公開ファイルのうち、(2)和音・状態遷移パターン種別がそれに該当します。

     (なお、こうして見るとpclsとdefaultの間にはギャップが存在するように見え、系列生成上はdefault以降と同じく位置・転回を区別しておいて、遷移パターン計算の際に位置・転回を無視して和音パターンのみで状態遷移パターンを作成するというやり方が考えられそうですが、これは状態遷移パターン上同一の和音パターンが連続しているパターンが生成されるが、実際にはそれは移置や転回を考慮すれば異なるパターンであるものが単に区別されていないためであるに過ぎず、そのような粗視化によって同一和音の連続がパターンに含まれることの意義が定かでないことから興味を惹くようなものではなく、トリヴィアルなものに感じられたため、(実際、計算は行って結果も得られているのですが)公開対象には含めないことにします。これについても今後、見方が変わって公開する意義があると判断したら追加で公開したいと思います。)

     上記の定義により、状態のコーディングに関しては以下のようにしました。

    • 和音のパターンのみを状態とする(pcls):和音のパターンを表す4桁の数値(定義は従来の集計では5桁目~8桁目と同じ)。従って10000倍すれば従来のコーディング体系と互換になります。当然、状態遷移パターンに含まれる各状態は、生成された系列の各状態そのものであり、普通の状態遷移系列としての取り扱いが可能です。
    • 和音のパターン・五度圏上での位置・転回の組み合わせを状態とする(trans_inv):こちらは従来のコーディングと同じです。8桁の数値で表現され、1,2桁目が転回を、3,4桁目が五度圏上の位置を、5~8桁目が和音のパターンを表します。詳細はMIDIファイルを入力とした分析の準備(3):状態遷移の集計手法の検討と集計結果の公開を参照頂けますようお願いします。ただし、遷移パターンに含まれる各状態は、これまでの集計結果では生成された系列の各状態そのものではなくて、(最初の和音パターン・基本位置(下4桁0000固定)→次の和音パターン・前からの変分→…)であったのに対し、ここでは常に生成された系列の各状態そのものであり、(和音パターン・位置・転回)の系列になります。このことによって、変化の同一性が捉えられないという犠牲の見返りに、普通の状態遷移系列としての取り扱いを可能にしています。

       3.公開ファイルの内容

     以下、公開するファイルの説明を行います。従来とは異なり、今回は、以下の2パターンの和音(ピッチクラスの集合)の系列を入力として行いました。

    • 各拍頭(A)/単音・重音の拍は対象外(cdnz3)
    • 各小節頭拍(B)/頭拍が単音・重音の小節は対象外(cdnz3)

    つまりこれまでと異なって、単音・重音の拍を含めた集計は行っていません。これは理論的・技術的な理由によるものではなく、単に、今後の分析にあたり、まずは単音・重音の拍は対象外としたデータの分析を行う予定だからです。従来、出現頻度のみの集計・分析であれば、機能よりもテクスチュア、聴感を重視して、単音・重音も含めた集計を行ってきましたが、状態遷移のパターンについては、まずは機能和声で言うところのカデンツに相当する構造を抽出する方が、作品の特徴を捉える上で一層興味深く思われるため、まずは単音・重音の拍は対象外とした集計を行った次第です。(今後分析を進めていった結果、ここでの想定とは異なり、単音・重音の拍を含めた系列の分析がより興味深いということになるかも知れず、その場合には単音・重音の拍を含めた集計を行うことになるでしょう。)

     また、各拍頭(A)/各小節頭拍(B)の両方を集計しましたが、機能和声で言うところのカデンツに相当する構造を抽出するという観点から言えば、各拍頭(A)だと細かすぎて、楽曲分析上重要とは看做されない経過音のようなものを拾う可能性がある一方で、小節の途中でコード進行が起きるのはごく普通に起きることなので、各小節頭拍(B)だと今度は肌理が粗すぎるように思われます。(厳密に言えば、例えば緩徐楽章等ではしばしば拍と拍の間でコード進行が起こることを考えると各拍頭(A)でも粗すぎる場合があることになります。)要するにMIDIファイルを入力として単純に同時に鳴る音の並びを拾うだけでは、大黒達也さんが『音楽する脳』(朝日新書, 2022)で述べるところの音楽の「意味」としての「コード進行」(同書p.114参照)は取り出せず、その中から「意味」のあるパターンを抽出する操作によって「意味」としてのコード進行が抽出できるのであって、コード進行はデータに客観的な仕方で埋め込まれているのを読み出す仕方で取り出されるのではなく、能動的にモデルを持って推論しつつ、探して読み出していくものなのだと言うことだと思います。(突飛な連想かも知れませんが、物理的な音声データと「音素」の関係と構造的には共通しているように感じます。)

     いずれにしても、ここで行っているのは機能和声理論に基づく楽曲分析でも、「意味」としてのコード進行の読み取りでもなく、単に入力データに含まれるパターンを抽出したものに過ぎない点は確認しておきたく思います。


    (1)状態遷移パターン集計結果

    アーカイブファイル和音状態遷移パターン出現頻度(3)_全交響曲.zipには和声の状態遷移パターンの頻度を集計した以下の4ファイルが含まれます。

    各拍頭(A)/単音・重音の拍は対象外

    • sym_A_pcls3.xlsx:五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • sym_A_trans_inv3.xlsx:五度圏上の位置・転回形を区別)

    各小節頭拍(B)/頭拍が単音・重音の小節は対象外

    • sym_B_pcls3.xlsx:五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • sym_B_trasn_inv3.xlsx:五度圏上の位置・転回形を区別

    各ファイル共通で以下の12シートからなり、シート毎に各集計対象ごとのデータが含まれます。このフォーマットはB列1行目に集計対象の和音の系列の長さ(=和音の総数)が追加された以外は、これまで公開してきた集計結果と同じです。

    • all:全交響曲
    • m1:第1交響曲
    • m2:第2交響曲
    • m3:第3交響曲
    • m4:第4交響曲
    • m5:第5交響曲
    • m6:第6交響曲
    • m7:第7交響曲
    • m8:第8交響曲
    • erde:「大地の歌」
    • m9:第9交響曲
    • m10:第10交響曲

    各シートのフォーマットも共通で、以下の通りです。

    • A,B列:深さ=0に相当する和音(A)と頻度(B)。A列1行目は和音の種別数。B列1行目は集計対象の和音の系列の長さ(=和音の総数)。
    • C~E列:深さ=1の状態遷移パターン(C~D)と頻度(E)。C列1行目はパターン数。
    • F~I列:深さ=2の状態遷移パターン(F~H)と頻度(I)。F列1行目はパターン数。
    • J~N列:深さ=3の状態遷移パターン(J~M)と頻度(N)。J列1行目はパターン数。
    • O~T列:深さ=4の状態遷移パターン(O~S)と頻度(T)。O列1行目はパターン数。
    • U~AA列:深さ=5の状態遷移パターン(U~Z)と頻度(E)。U列1行目はパターン数。




    (2)和音・状態遷移パターン種別

    アーカイブファイル 和音状態遷移パターン種別(2)_全交響曲.zip には和音毎・状態遷移パターンの異なり數(種別)を集計した以下のファイルが収められています。これは前の記事MIDIファイルを入力とした分析の準備(4):集計結果の公開(続き)での集計結果の更新版です。

    • sym_cdnz_summary2.xlsx

    以下、変更のあったシートについてのみフォーマットの説明をします。変更のないシートについては、前の公開時の記事MIDIファイルを入力とした分析の準備(4):集計結果の公開(続き)をご覧ください。

    ファイルは以下の4シートからなり、シート毎に以下の条件で集計した和音・状態遷移パターンの種別の集計結果が含まれますが、既述の通り、今回変更があったのは、★をつけた単音・重音の拍は対象外のシートです。

    • B_cdnz3:各小節頭拍(B)/頭拍が単音・重音の小節は対象外(★)
    • B_cdnz:各小節頭拍(B)/頭拍が単音・重音の小節を含む
    • A_cdnzs3:各拍頭(A)/単音・重音の拍は対象外(★)
    • A_cdnz:各拍頭(A)/単音・重音の拍を含む

    変更のあったシートのフォーマットは共通で、以下の通りです。追加された情報を★で示します。

    列方向:

    A列:集計対象の和音・状態遷移の種別

    • seq:対象拍数(Aなら拍数、Bなら小節数に概ね等しい)
    • pcls_cseq(★):対象状態数(単音・重音を含まない)・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • pcls(★):和音種別/状態遷移パターン・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • default_cseq::対象状態数(単音・重音を含まない)・全ての和音について転回形を区別せず(移置のみ)
    • default:和音種別/状態遷移パターン・全ての和音について転回形を区別せず(移置のみ)
    • tonic_cseq:対象状態数(単音・重音を含まない)・長短三和音のみ転回形を区別
    • tonic:和音種別/状態遷移パターン・長短三和音のみ転回形を区別
    • inv_cseq:対象状態数(単音・重音を含まない)・全ての和音について転回形を区別
    • inv:和音種別/状態遷移パターン・全ての和音について転回形を区別
    • trans_inv_cseq(★):対象状態数(単音・重音を含まない)・全ての和音について転回形を区別
    • trans_inv(★):和音種別/状態遷移パターン・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別

    B列:深さ(0~5)の区分

    • 0:和音種別
    • 1:状態遷移パターン・前→後
    • 2:状態遷移パターン・2つ前、1つ前→後
    • 3:状態遷移パターン・3つ前、2つ前、1つ前→後
    • 4:状態遷移パターン・4つ前、3つ前、2つ前、1つ前→後
    • 5:状態遷移パターン・5つ前、4つ前、3つ前、2つ前、1つ前→後

    C~M列:各交響曲の集計結果

    • C列(m1):第1交響曲
    • D列(m2):第2交響曲
    • E列(m3):第3交響曲
    • F列(m4):第4交響曲
    • G列(m5):第5交響曲
    • H列(m6):第6交響曲
    • I列(m7):第7交響曲
    • J列(m8):第8交響曲
    • K列(erde):「大地の歌」
    • L列(m9):第9交響曲
    • M列(m10):第10交響曲
    • N列(sum)(★):C~M列の単純合計
    • O列(all)(★):全交響曲での集計結果

    行方向:

    • 1行目:ヘッダー行
    • 2行目~23行目:和音・状態遷移の種別(A列)/深さ(B列)の条件毎・曲毎の集計結果
    • 2行目:seq/0:対象拍数(Aなら拍数、Bなら小節数に概ね等しい)
    • 4行目:pcls_cseq/0(★):対象状態数(cdnzなら単音・重音を含む、cdnz3なら単音・重音を含まない)・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • 5~10行目:pcls/0~5(★):和音種別/状態遷移パターン(深さ0 ~5)・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別せず
    • 12行目:default_cseq/0:対象状態数(cdnzなら単音・重音を含む、cdnz3なら単音・重音を含まない)・全ての和音について転回形を区別せず(移置のみ)
    • 13~18行目:default/0~5:和音種別/状態遷移パターン(深さ0 ~5)・全ての和音について転回形を区別せず(移置のみ)
    • 20行目:tonic_cseq/0:対象状態数(cdnzなら単音・重音を含む、cdnz3なら単音・重音を含まない)・長短三和音のみ転回形を区別
    • 21~26行目:tonic/0~5:和音種別/状態遷移パターン(深さ0~5)・長短三和音のみ転回形を区別
    • 28行目:inv_cseq/0:対象状態数(cdnzなら単音・重音を含む、cdnz3なら単音・重音を含まない)・全ての和音について転回形を区別
    • 29~34行目:inv/0~5:和音種別/状態遷移パターン(深さ0~5)・全ての和音について転回形を区別
    • 36行目:trans_inv_cseq/0(★):対象状態数(cdnzなら単音・重音を含む、cdnz3なら単音・重音を含まない)・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別
    • 37~42行目:trans_inv/0~5(★):和音種別/状態遷移パターン(深さ0~5)・全ての和音について五度圏上の位置・転回形を区別



    [ご利用にあたっての注意] 公開するデータは自由に利用頂いて構いません。あくまでも実験的な試みを公開するものであり、作成者は結果の正しさは保証しません。このデータを用いることによって発生する如何なるトラブルに対しても、作成者は責任を負いません。入力として利用させて頂いたMIDIファイルに起因する間違い、分析プログラムの不具合に起因する間違いなど、各種の間違いが含まれる可能性があることをご了承の上、ご利用ください。(2023.8.27公開, 9.4追記)

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