Webで公開されているマーラー作品のMIDIデータを用いたデータ分析については、和音の出現頻度にフォーカスした分析を行った結果を、昨年末に記事「MIDIファイルを入力とした分析:データから見たマーラーの作品 和声出現頻度の分析のまとめ」にて要約したが、その際に、頻度をカウントする対象とする和音の種類を直観的に頻度が高そうなもの約130パターンに限定していること、結果としてバッハから古典期にかけての作品は、あくまでも選択された作品の範囲ではあるにせよ、用意したパターンでほとんど分類可能であるのに対し、マーラーの場合はラヴェルやシュトラウス程ではなにせよ、一定量の未分類の和音が残っていること、年代区分としては、後期にいくに従い未分類の和音が増加する傾向が認められること、具体的には第4交響曲迄については99%を超える被覆率であるのが、中期作品では98%台となり、その後の作品では97%台まで低下することを述べ、未分析の和音を集計・分析対象とすることを今後の課題として挙げたが、本稿はその課題に対応した結果を報告するものである。以下に上記記事で示した前回分析における未分類の和音の出現率を集計した表を再掲する。
対象とした作品、MIDIファイル、および分析対象となる和音の抽出方法には変更はなく、「大地の歌」およびクックによる第10交響曲の補筆完成版を含むマーラーの全交響曲の各楽章毎のMIDIデータ50ファイルについて、各小節の各拍(有効のべ拍数:86043)の位置で鳴っている和音を対象としている。実際にはここでの報告対象に加えて、手元にあるMIDIファイルのうち、個別の楽章のみしかない孤立したファイルは除き、全楽章揃っている交響曲のMIDIファイル全て(132ファイル、有効のべ拍数:238466)を対象として未分析和音を解消し、更に歌曲についても同様にして、手元にある27曲(同曲異版含め50ファイル、有効のべ拍数22455)を対象にし、未分析の和音がないことを確認しているが、ここでは和声出現頻度分析を行ったファイルに対象を限定して報告する。以下に示すように、和声出現頻度分析を行ったファイルを対象とした場合、のべ拍数にして1400程度の拍が未分析であり、それらが150程度の異なった和音パターンに分類されたことになる。
- ファイル数:50
- 有効のべ拍数:86043
- 分析和音パターン(=転回形・移調形の異なりを除去)数:284
- gm_sym_A_seq2.csv:ファイル(=楽章)単位の出現頻度集計結果(和音パターン番号順)
- cfrq_sym.pdf:曲毎・出現頻度順の累計出現頻度の集計結果(以下の2.A.1)
- cfrq_sym_ave.pdf:曲毎・出現頻度順の平均出現頻度の集計結果(以下の2.B.1)
- sym_cfrq.pdf:曲毎・和音パターン番号順の累計出現頻度の集計結果(以下の2.A.2)
- sym_cfrq_ave.pdf:曲毎・和音パターン番号順の平均出現頻度の集計結果(以下の2.B.2)
- sym_MidiFileName.pdf:分析対象のMIDIファイルの情報
(2) 第6交響曲~第8交響曲、「大地の歌」、第9,10交響曲
B.平均和音出現頻度
B.1.各交響曲毎の出現頻度順
(1)交響曲全体、第1交響曲~第5交響曲
(2) 第6交響曲~第8交響曲、「大地の歌」、第9,10交響曲
(2022.4.24公開, 4.29和音パターン番号順の出現頻度表を追加、公開済アーカイブファイルgm_sym_A_seq2.zipに含まれるgm_sym_A_seq2.csvを和音パターン番号順に排列したファイルに差し替え, 5.8 前回分析における未分類の和音の出現率集計表を再掲、5.16 対象となるMIDIファイルおよびその取得元の情報をまとめた表を追加。)
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