2005年7月10日日曜日

アドルノのマーラー論における第4交響曲への言及について(2)--英訳の場合


アドルノのマーラー論での第4交響曲への言及に関して、新しい邦訳と私見との相違を 別のところにまとめたが、 その後、英訳(Mahler - A Musical Physiognomy, translated by Edmund Jephcott, 1992, The University of Chicago Press)を入手して確認したところ、英訳版ではアドルノの注の 付け方を練習番号との相対位置に基本的に改める方針をとっていることがわかった。 (ただし厳密には参照できたのは1996年刊のペーパーバック版である。)
この付け替え作業が推測によるのか、アドルノが参照した版にあたってのものかについては 記載がないが、推測であると書いていないからには、後者なのだろうと思われる。もし そうなのであれば、注の参照箇所に関しては、英訳のそれを「正解」と考えて良いだろう。
そこで、以下に英訳での参照箇所を抜粋したものを掲載したい。少なくとも原注の参照箇所に ついては、私の推定をご覧になるよりは英訳者の調査結果をご覧になったほうが確実だと 思われるからである。
なお、関連して問題にした原文の解釈の相違についても英訳を参照することが考えられるが、 こちらは参照箇所の問題と自ずと性格を異にするものでもあり、ここでは行わない。

以下、英訳(ペーパーバック版)の原文ページ、英訳での参照箇所を順次掲げる。 括弧内の小節数およびコメントは本ページの作者による補足である。


I.Curtain and Fanfare

p.6、原注(3):第4楽章、練習番号1の7小節後(=18小節)

p.10、原注(13):第2楽章練習番号11


III.Characters

p.44、原注(1):第1楽章練習番号7。参照箇所として第1楽章練習番号23の9小節後(=323小節)。

p.44、原注(2):第3楽章練習番号2の6小節後(=67小節。"klagend"と指示された第2主題の 前半の方の対応箇所の記載は英訳にはない。)

p.53、原注(18):第1楽章練習番号10の1小節後(=126小節)以降。

p.53、原注(19):第3楽章練習番号2の2小節前から始まる。(練習番号"3"の明らかな誤植だろう。)

p.53、原注(20):第1楽章練習番号17の5小節後、アウフタクトを伴う。(=225小節)

p.54、原注(21):第1楽章練習番号1の3小節後(=20小節)。

p.54、原注(22):第1楽章練習番号7の4小節後(=94小節)。

p.54、原注(23):第1楽章練習番号16(=209小節)。

p.54、原注(24):第1楽章練習番号19(=251小節)。

p.54、原注(25):第1楽章練習番号2(=32小節)。

p.55、原注(26):第1楽章練習番号18(=239小節)。

p.55、原注(27):第1楽章6小節を参照せよ。

p.57、原注(29):第1楽章10小節。アウフタクトを伴う。

p.57、原注(30):第4楽章練習番号10(=105小節以降)。

p.57、原注(31):第1楽章練習番号24の11小節後(=340小節)。


IV.Novel

p.68、原注(7):第1楽章練習番号8の前の3小節(99小節~101小節)。


V.Variant-Form

p.90、原注(5):第1楽章5小節。

p.90、原注(6):第1楽章9小節。

p.90、原注(7):第1楽章13小節。

p.91、原注(8):第1楽章練習番号2の5小節前(=27小節)。

p.91、原注(9):第1楽章練習番号2の3小節前(=29小節)。

p.91、原注(10):第1楽章練習番号18の8小節後(=246小節)。

p.91、原注(11):第1楽章練習番号23の4小節後と6小節後(=318,320小節)、練習番号23の1小節後、2小節後(=315,316小節)


VI.Dimensions of Technique

p.107、原注(1):第2楽章練習番号8(=185小節)。

p.118、原注(24):第3楽章練習番号2までの7小節(55~61小節)。


VIII.The Long Gaze

p.149、原注(7):第2楽章22小節以降。


(2005.7.10公開)

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